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12 混雑
何をしてるの!・・・帰って来るんじゃなかったの! 姉は、なかなか受話器を置かなかった。何も言えなくなった姉が、頻りに暗示しようとしていることを、次々に想像してみた。結果は、どれも惨憺たるものだった。 急がなければならない、・・・。 椅子を蹴り、階段を降り、会社を出、出社する社員と擦れ違うたびに曖昧な挨拶を繰り返しながら、駅までの道を駈け続けた。駅は、既に、朝の混雑が始まっていた。 改札口の人混みの中で、身体よりも遥か先を歩いている自分が居ることに気付いた。しかし、近付こうとする努力は無駄なようだった。人は途切れなかった。そして、次第に距離が開き、ついには階段の途中で消えたかのように見えなくなった。 何処へ行ったのだろうか、何処へ行こうとしていたのだろうか、・・・。
-Aug/27/1997-
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