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58 緑青
白の方が良かったかな? 扉の緑青が浮いたプレートを外して、船を降りた。 陽が落ちれば、周りは真っ暗だった。夏場なら賑やかなその辺りも、この季節のこの時間には、殆ど人影はなく、ひっそりとしていた。駐車場にも、車はまばらだった。 身体を動かして汗をかいたのは、久し振りのことだった。足は浮腫み、腕や腰は思うように曲がらなかったし、背中は痛み、足の裏には、殆ど、感覚がなかった。しかし、不思議にその疲労を感ずることはなかった。 それでも、車が動き出して暫くすると、沈み込むような感じが周期的に襲ってきた。何度も、それに耐えようとした。何度目かまでは耐えることができた。幾つかの光が視界を横切って、そして、去って行ったことも覚えていた。しかし、それから後のことは何も記憶に残っていなかった。何処で車を降り、どのようにして自分の部屋に辿り着いたかも、覚えていなかった。 只、微かに、夢の記憶があった。 部屋は冷え切っていた。足や腰をさすりながら熱いシャワーを浴びると、すぐ横になった。もう、目を開けていることはできなかった。 その夜、夢の続きを見た。
-Nov/2/1997-
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