【穃】
笹原宏之著『「JIS X 0208」における音義未詳字に対する原典による同定』に、「JISの典拠は『国土行政区画総覧1974.06』の沖縄県中頭郡美里村古謝小字穃原(ようばる)である。1995年現在、沖縄市役所の固定資産税課によると、ここは「榕原」と書くもので、現存している1983年の土地台帳、公図でも同様という。」とある。
【粐】
粐薪沢(ぬかまきざわ)は秋田県秋田市の地名。『JIS X 0208:1997附属書7(参考)区点位置詳説』に「『国土行政区画総覧』にあるこの地名がJISの原典典拠」とある。「すくも」と読む辞書もあるが、「粭」の読みをあてただけで、根拠のないものであろう。
【粭】
粭島(すくもじま)は山口県徳山市の地名。『JIS X 0208:1997附属書7(参考)区点位置詳説』に「『国土行政区画総覧』にあるこの地名がJISの原典典拠」とある。『難訓辭典』に「周防國都濃郡粭島(すくもじま)村」とある。
【粫】
『JIS X 0208:1997附属書7(参考)区点位置詳説』に「『国土行政区画総覧』にある福島県の粫田(うるちだ)がJISの原典典拠。ただし、現地(白河市)の役所によれば糯田(もちだ)」とある。「糯」は苗字では「うるち」とも「もち」とも読まれる。「粫」が誤字としても「糯田」が「うるちだ」と呼ばれた時期がある可能性は否定できない。
【軅】
笹原宏之著『「JIS X 0208」における音義未詳字に対する原典による同定』に、JISの典拠として『国土行政区画総覧』から「福島県白河市(大字なし)通称白坂字軅飛(たかとぶ)」が引かれている。同書に「この地名は「国土調査により字名変更」があり、「鷹飛(たかとび)」になっている。従来漢和辞典やワープロ漢字辞典のほとんどすべてが「軈(やがて)」の異体字としていた。しかし「軅」は「鷹」の動用字ないし篆書体に基づく字体[鳥+(應-/心)]がさらに崩れたものであった」とある。「軈」の異体字とした辞書の編者は何を典拠としたものであろうか。また同氏により、『JIS X 0208:1997附属書7(参考)区点位置詳説』にも『国土行政区画総覧』から同様の解説が付けられた。その後二年あまりを経て出版された『旺文社漢字典』が「やがて 〔軈〕の俗字」と解説するのは、理解に苦しむ。
【靹】
『大漢和辭典』・『中文大辭典』などで音義未詳とされるが、『篇目次第』などに「同[靹-革+韋]」とある。『漢語大字典』は、『大漢和辭典』が引く『呂氏春秋』のほか、『札[込-入+多]』から「靹,當為[靹-革+韋]」、『農政全書』から「堅者耕之,澤其靹而後之」と引いて、「柔軟的(土壌)」とする。これがJIS漢字の典拠ではないが、「鞆」の異体字とする典拠もそれほど明確なものではない。『JIS X 0208:1997附属書6(規定)漢字の分類及び配列』に「ドウ,ノウ」とあるが、典拠は明示されていない。芝野耕司編著『JIS漢字字典』に「靹谷(トモタニ・姓)」とある。「鞆」参照。