[小説 時] [4 街中] |
4 街中
あいつ、・・・。何? 何んでもないよ。 そう。・・・あまり無茶しないで。 この車は、伊達に赤い訳じゃない。 結構やるわね。・・・もうちょっと、違うかと思ってた。 何が?・・・どう違うんだって? もうちょっと軽いのかなって、思ってたんだけど、違うみたい。 軽い、軽い。何しろ、高卒だからな。 僻んでるの? 舌を噛むなよ。 見えないね。 あの信号を越せば見えるだろう。後は、そう飛ばせない筈だ。 そうね。 相当、慌ててるな。・・・当り前だろうけど、・・・。 あれが自分だったらと思うと、ぞっとするね。 そうだな。・・・ほら、あれだ! 怪我人を乗せているのに、大丈夫かしら? 向こうが幾ら飛ばしたって、追い付くのは時間の問題さ。 そろそろ街中なんだから、気を付けて。 分かってる。 でも、何処へ行く心算なんだろうね。 さあ、・・・何処だろうな。 何か変じゃない? 何が? 曲がりそうよ。・・・大丈夫かな?・・・車に載せた時、全然動かなかったもんね。 そうだな。・・・死んでたかも、ね。 まさか、嫌だ。 曲がったよ、あいつ。 ね、変でしょう? 変だな。 どうしよう。 -Aug/21/1997-
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