[小説 時] [5 殺人] |
5 殺人
まさか、・・・。何? 家に、戻る心算だ。・・・怪我人を乗せた儘だよ、冗談じゃないぞ。 そういえば、そうだわね。何んだか怖くなっちゃった。 ・・・まずいな。・・・まずいよ、まずいよ、・・・。 何? いや、・・・。 警察へ連絡した方が良いんじゃない? ちょっと、待ってくれよ。 変な人ね。 ねえ、頼みがあるんだけど、良い?・・・断わらない、って云う約束付きでさ。 どんなこと? 断わらないって約束してくれないかな、先に。 はっきり言いなさいよ、男でしょう? このことは、・・・見たこととか、喋ったこととか、・・・此処に俺と一緒にいたってこととか、全部忘れて欲しいんだよ。 どうして?・・・あの女、死んだら、これは、殺人じゃない。 分かってるよ! それじゃ、どうして? この車、・・・欲しかったら遣るよ。 車と、どう云う関係があるの?・・・やっと手に入れた車なんでしょう? 欲しいんだろう? 冗談に決ってるじゃないの。・・・急に、どうしたの? どうもしないさ。 だって、理由がないじゃない? ・・・。 訳を、・・・聞かせて貰えない、よね? やっぱり、・・・戻るよ。 どうしてなの? どうもしないよ。 何んだか良く解らないけど、分かったわ、約束する。・・・だけど、車はいらない。又乗せてくれるんならね。 さあ、それは、どうかな。 -Aug/21/1997-
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