[小説 時] [11 騒動] |
11 騒動
翌朝、会社に着いたのは、何時もより、かなり早い時間だった。山のような書類を眺めながら、陽が机を去るまでには片付けたい、と考えていた。 大半の書類は処分された。残ったものは、印鑑が必要なもの、ファイルしておく必要のあるもの、回覧されるものに分類され、印鑑を必要としているものには印鑑が押され、更に、ファイルされるものはファイル毎に、回付・回覧されるものは行き先毎に、それぞれ別の封筒に入れられ、メモが付けられた。それでも片付け切れない書類があった。それ等は、抽出しの中で役目を終えることになった。 僅か一日の休暇のために、何と云う騒動だろうか、・・・。 封筒を机の上に並べながら、受話器を取った。これで、済んだ。 昨日は、連絡もできずに悪かったね。急な出張で、帰れなかったよ。 そうだったの。・・・家の方には連絡した? いや、戻ったのは、もう、連絡できるような時間じゃなかったんでね。・・・でも、これから急いで列車に乗るよ。午には着けるだろうから、先に話を済ませよう。 そんなことは後回しでも構わないから、それよりも、・・・早く、電話を入れてみて。 ・・・どうして?・・・何故? はっきりしたことは分からないけど、・・・とにかく、そうして、・・・。わたしの方は、後でも良いんだから、・・・。 何を言ってるんだか、さっぱり分からないよ。 そうでしょうね。 何かあったのか? 、良く分からないの。・・・でも、これだけは分かっている。・・・今のあなたは、のんびりと電話でお喋りをしている場合じゃないってこと、・・・。 -Aug/27/1997-
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