[小説 時] [16 電話] |
16 電話
今、病院へ行って来た。助かるんでしょう? 知ってたのか? 詳しいことは知らないけど、大体のことは、・・・。 何故、教えてくれなかったんだ! 怒鳴らないで。・・・一体、どうしたの? それが知りたいんだよ。 落ち着いて、・・・。今、何処から電話してるの? そんなことは、どうでも良いだろう。 まだ、帰ってないんでしょう?・・・そうでしょう?・・・何をしてるの? よけいなお世話だ! 良く聞いて。・・・そこからなら、あなたの家はすぐなのよ。わたしの方は後でも良いんだから、まず、家に帰って、・・・。 悪かったよ。・・・只、家に着く前に、・・・。 ねえ、早くしてあげて。・・・待ってるのよ、あなたを。皆、づっと、あなたの帰りを待っているのよ。 知ってることは、全部、教えてくれないか。 交通事故だってことは知ってるんでしょう? ああ。 相手が誰かも? 聞いた。 それだけよ。 何故、・・・。 それ以上のことを、どうしてわたしが知ってると思うの?・・・聞く相手が違うわ。 そうだね。・・・只、一度に全てを聞かされるのが、怖いんだよ。・・・その前に、少しでも、知っておきたかった。 お父さんも、事情を全く知らない訳じゃないわ。良く説明しておくから、ね。・・・委せて、・・・。だから安心して、・・・。 分かった。謝るよ。 良いのよ。・・・あなたの気持ちも解るような気がするわ。場合が場合ですものね。でも、しっかりして、・・・。話は落ち着いてからでもできるんだから、・・・。 ありがとう。そうしよう。 -Aug/31/1997-
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