[小説 時] [33 磊落] |
33 磊落
叔母は、降りて来た。さあ、もう良いわ。少し休みなさい。 でも、・・・。 そんなことじゃ、先が続かないわよ。 良いんです。 姉さんは、あなたが倒れはしまいか、心配してるわ、きっと。 ・・・・・。 そうしていては、姉さんも落ち着かないわよ。もう、安心させてあげてよ、ね? ええ。 姉が部屋を出て襖を閉めると、叔母は静かに母と話を始めた。何時もは陽気な叔母だったが、さすがに疲れている様子だった。 仲の良い二人だった。喜怒哀楽の差が殆どと云って良い程なかった母は、取分け磊落な叔母の性格が気に入っていたし、幾らか楽天的に過ぎる叔母は、何時でもどんな話でも静かに耳を傾けてくれる母が好ましかった。しかし、お互いが必要としている片方はもういない、と云うことに気付かなければならない程の時間が過ぎた。 最初の夜は終わった。しかし、もう一日が残っていた。 それは今までの数日間よりも、遥かに長い一日になる筈だった。 -Sep/21/1997-
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