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[小説 時] [43 冗談]

43 冗談

 随分早いね。
 眠らずに走って来たよ。
 それが確実な話だと云う保証は、何処にもないんだ。あまり、期待し過ぎない方が良いかもしれないな。
 今更何を言い出すんだ。
 そうだな。聞いてみれば分かるか。・・・今日の六時。場所はどうする?
 決まったら、すぐに連絡する。できれば、人払いのできる場所にしたいから。
 遅くとも、三時までには連絡して欲しいんだよ。先に済ませておきたい用事があるし、彼女にも都合があるだろうからね。
 分かった。・・・ありがとう。
 期待通りの話が聞けなくても、がっかりしないようにね。
 今は、事実なら、どんなことでも知りたい、そのためになら、どんなことでもする心算だよ。・・・どんなことだって、・・・。

 お兄さん?
 珍しいね。どうしたんだ?
 頼みがあるんです。
 できることと、できないことがあるよ。
 できることです。
 何?
 何時もの部屋を、一つ予約しておいて貰えませんか?
 それ位のことは自分でできるだろう。
 暫く顔を出してないんで、頼みにくいんですよ。何しろ、急な話ですからね。
 他にも店はあるぞ。
 いえ。あの店にして欲しいんです。五時過ぎから、三人。・・・ちょっと訳があって、他人には聞かれたくない話をしたいものですからね。それで、頼んでるんです。
 他人には聞かれたくない話ねえ。・・・どんな話だ?
 その時期が来たら、話します。
 いやに勿体振るじゃないか?・・・まあ、そんなことはどうでも良いか。分かった。連絡しておく。・・・何か注文はあるか?
 ありません。お委せします。
 勘定は?
 請求して下さい。支払いますから。
 冗談だよ。
 あまり気の利いた冗談とは云えませんね。
 事故の件か?
 ええ、まあ、そう云うことです。
 あまり深入りするなよ。
 何故です?
 その内分かる。
 その内じゃなくて、今、知りたいんですよ。手遅れにならない内に、です。

-Oct/11/1997-

・・・つづく・・・



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