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[小説 時] [46 手紙]

46 手紙

 誰からですか?
 実は、電話ではありません。申し訳ありませんでした。主人から、急いで帳場の方へご案内するように言われておりましたので、・・・。
 それなら後にしましょう。
 いえ、どうしてもと云うことでした。どうぞお急ぎ下さい。
 どう云うことなんです?

 ・・・・・!

 どうぞ、・・・こちらです。お入り下さい。・・・これを、お預かりしております。中を改めて戴きたいとのことでした。それでは、主人がすぐに参りますので、お待ち下さい。

 突然、申し訳ありませんでした。
 何も書いてない手紙を受け取るのは、生まれて初めてのことですよ。どう云うことか、説明して戴けますね?
 ・・・・・。
 これは、呪いか何かですか?
 そうですね。中身を書いている時間がなかったものですから、・・・。
 どうです?・・・厄は払えそうですか?
 ええ、きっと、・・・。
 なかなか面白い冗談だとは思いますが、あまり感心できることじゃありませんね。
 いいえ。
 どう云うことですか?
 咄嗟のことでしたから、これしか思い付かなくて、・・・。ご迷惑をお掛けしました。
 何か、これに意味があるんですね?
 いいえ。
 解りませんね。意味もない手紙を受け取るために連れて来られたと云うことですか?・・・どう云うことか、はっきりと説明して戴けませんか?
 ・・・・・。
 何も書いてないんですよ。これを読んで理解しろと云うのは無理な話ですよ。
 申し訳ありません。

 そうですか。どうしても説明はできないと云う訳ですね?・・・自分で考えろ、そう云うことですね?
 お話はそれだけです。・・・もう、お戻りになって下さい。お客様がお待ちですから。
 一つだけ、聞きます。これは、此処で処分しても構わないんですね?
 はい。

-Oct/18/1997-

・・・つづく・・・



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