[小説 時] [48 約束] |
48 約束
驚いたね。これから、その友達に連絡を取って戴けませんか? どうしてですか? 一緒に警察へ行って、今の話を、もう一度して欲しいからです。 これからですか? 必要があれば、先生が付いて行ってくれますよ、きっと。 何故、そこまでするんです? あなたの話が事実なら、警察は大きな間違いを犯したことになるんです。 でも、もう済んだことなんでしょう? そうだったかもしれませんが、そうでなかったことが、今、分かったんですよ。 困るな。だって、約束、破っちゃったものね。もうこれ以上、迷惑掛けられない。 大丈夫、・・・きっと分かってくれるよ。 そうかな。 電話を、して戴けますね? 話してみますけど、・・・きっと無理だと思うな。 この電話を使って下さい。 警察は、この話を信用するだろうか。 無理だろうね。普通の事件なら、腰を上げるだろうが、これは握り潰される。 それでも行かせるのか? 警察が動き出せば、それに越したことはない。だが、動かなくても、調書にならなくても、警察が事実を知ると云うことが重要なんだよ。・・・いづれにしても、向こうの耳には入る。その時の反応を見たい。何の反応もなければ、許す訳にはいかない。 それは解るが、・・・只、あの子達は、こうなることを自ら望んだ訳じゃない。 そうだね。・・・誰にとっても、望んだ結果じゃない。 どうしても必要だと云うならともかく、行っても無駄になるかもしれないんだよ。 確かに、可能性は低いと思う。だが、全くない訳じゃない。 あの子達は、そのことのために悩むだろうな。・・・それを考えると、残酷な頼みだと云う気がするね。 -Oct/18/1997-
|