[小説 時] [61 薮蛇] |
61 薮蛇
二日?・・・どうして二日なんです?とにかく、二日しかないんだ。 しかし、そんなことを条件に持ち出せば、薮蛇になるかもしれませんよ。 それが限界だ。そこでだ、・・・予定地を、今よりも南へずらす。 まさか、・・・やっと折り合いが着いたんですよ。それを今更、変えられませんよ。 何とでも言い訳はできるだろう。 南側は、確か、・・・。 そうだ。 成程、・・・。しかし、それで「うん」と言いますかね。あの気性ですよ。 根回しが済み次第、記事にする。・・・後は、向こうがやってくれるさ。 余程、慎重にやらないと、・・・。 分かってる。・・・さて、そろそろ、署長に会いに行ってくれ。話はしてある。病院で話した程度で良いんだ。それ以上のことは、何を聞かれても答えなくて良い。 院長の話では、恐らく、助からないだろうと云うことでしたよ。 分かっている。心配するな。明日までは持たせてくれる。 それじゃ、・・・。 そうだ。 そう云うことですか。・・・院長がそう言ったんですね? 頼み込んだ。 頼んだ? 悪いようにはしない。此処は黙って引き受けてくれ。・・・頼む。 まさか、冗談じゃありませんよ。・・・幾ら署長が噛んでも、無罪放免と云う訳にはいきませんよ。 それを、承知の上で頼んでるんだ。・・・どんなことでもする。 しかし、・・・。 今度の選挙は、落とす訳にいかんのだ! 怪我程度の事故なら何んとか手もあるでしょうが、今度の場合は、死亡事故なんですよ。幾ら先生の頼みでも、そんなことは、・・・。 まだ、死んだ訳じゃない。 この期に及んで、そんな気休めが通じると思っているんですか! その前に、話は着ける。お前のこともだ。 心配してるのは、その後のことですよ。 できるだけのことはすると言ってるんだ! 悪かった。・・・しかし、外に頼れる者はいないんだ。・・・頼む。 分かりました。此処まで来たら、皿まで喰わなくちゃならんと云う訳ですね。 -Nov/8/1997-
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