[小説 時] [65 正月] |
65 正月
雪の少ない正月だった。ひっそりとしたこの家でも、年は明けた。だが、何の変化もなかった。頭の中でしきりに蠢いているものが、明かな形にならないと云う焦燥があった。そして、その儘一年が過ぎてしまうのではないかと云う予感がしていた。この儘では、又、ノートに解けない問題が残ってしまう、一旦、抽出しに入ってしまえば、二度と解くことはできなくなるだう、・・・しかし、それはできない、・・・だが、どうすれば解けるだろうか、・・・。 どうだ? 何が? 少しは落ち着いたか? いや。 そうだろうな。その話は、また後で聞かせてもらうよ。ところで、今日はどうする心算かと思ってね。 何の話だ? 校友会だよ。・・・案内状は出してある筈なんだがな。 いや、気が付かなかった。 そうか。出られるか? そんな気分じゃないよ。 出て来いよ。どうせ暇を持て余してるんだろう? よけいなお世話だ。 それはとにかく、まだ、だいぶ時間があるんだ。これから会えないか? 良いよ。 -Nov/8/1997-
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