[小説 時] [74 結論] |
74 結論
あなたの気持ちも解らない訳じゃないの。だから、できれば、気の済むまで幾らでも待ってあげたい、・・・でもね、・・・辛いのは、あなただけじゃないわ。良く解る。我儘だと云うことも良く解っている。 お店を替えても良い?・・・ついこの間、先輩がお店を開いたの。 いや、もう帰ろう。 あなたって、ちっとも思い遣りがないのね。やっと会えたって云うのに、・・・。 一年の猶予を貰って、その一年が経った。例え期待に沿えるような結論は出せなかったとしても、報告だけはしないと、・・・ね。帰ろう。 だって、お父さん、まだよ、きっと。 帰って来るまで待つさ。 でも、もう少し位、良いでしょう? そうだね。 どうやら、あなたの言った通りかもしれないって、お父さん。 話したのか? 約束は覚えてるわ。でも、わたしが話さなくても、あの事故のことは、仕事の関係で、嫌でも耳に入って来るらしいの。あなたのことも含めてね。 どう云うこと? 社長や専務は矛を収めたのに、長男は・・・。 何? ごめんなさい。何でもないの。聞かなかったことにして、・・・。 どんなことでも聞いておきたいんだ。 分かったわ。でも、これだけは約束して、・・・決して怒らない、・・・。良い? 約束してくれる? 聞いてみなければ分からない。 怒らないでね? 分かった。 鼠みたいに、・・・。 何! わたしが言ったんじゃないわよ。 鼠? 怒らないって約束したのに、・・・。 誰だ? 知らないわ。 ・・・その続きは? 鼠みたいにうろつき回ってる、って、・・・。ごめんなさい。 そう、・・・。 本当に、わたしじゃないのよ。信じてね? 分かってるよ。 本当に信じてくれる? 鼠か、・・・。 -Dec/6/1997-
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