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[小説 時] [82 二兎]

82 二兎

 それが心配なんです。
 良く事情を説明してみたのか?
 それができる位なら、こんなに苦労はしません。話を聞いたら、誰だって、叔父さんだって、まず間違いなく納得してはくれませんよ。
 何故そうだと言い切れるんだ?・・・やってみなければ分からんよ。
 分かっているんです。何故って、自分でも相当に馬鹿気た話だと思っているんですから、・・・。そんな釣は止めてしまえと言われるのが落でしょう。
 それなら簡単だ。釣の方を諦めるんだな。
 お母さんとの約束ですから、・・・。
 死んだ人間が、生きている人間に意見するようなことはないよ。そんなことで、大事な約束を反古にするか?
 いえ、それもできません。
 それじゃ話が前に進まんよ。
 そうですね。
 一つ忠告しておくが、決断する時に他人の手を借りようとするな。もう一つ、決断の材料には確かなものだけを選べ。・・・分かったか?
 良く解ります。
 暫くすれば、影も少しは濃くなだろう。それまで待ったらどうだ?・・・一度に解決できるのは一つだけだ。二兎を追えば両方に逃げられてしまう。・・・そうじゃないか?
 やはり無理でしょうか?
 無理だろうな。・・・今年の夏は暑かったが、それだって、何時までも続く訳じゃない。

-Jan/11/1998-

・・・つづく・・・



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