[小説 時] [93 制裁] |
93 制裁
あの男は制裁を受けなければならない。もう、その話しは止して! 大事なことだ。もしかしたら、・・・。 制裁を受けるのはあなたよ! 不毛だ。 あなたの妄想の方が、づっと不毛よ。 妄想じゃない。 わたしは、あなたが何をしようとしているのか、知りたいとも思わない。只、・・・思い出して欲しいのよ。・・・あなたの目の前にいるのは、二年前に、あなたが「結婚して欲しい」と言った相手で、それに「嬉しい」と応えた女なのよ! 何もなければ、・・・。 何もないわ。 あったよ。 確かに、辛いことだったでしょう。それは、・・・きっと、そうでしょう。でも、二人の約束とそれと、どう云う関わりがあるの?・・・もう、充分な時間が経ったわ。 今までは、最後の実をどうするか迷っていた。口に合わないことは、殆ど確実だった。・・・それでも、話がしたいと言われた時には、もうこれ以上、待たすことはできないだろうと思ったよ。・・・一年半の償いをしようと思った。・・・相当の痛みを覚悟をしてくれるなら、一人で採る心算だった実を、二人で採ってみようと思った。最後の小節を、一緒に仕上げてみよう、そう思った。・・・でも、それは、・・・やはり危険なことだ。 出ましょう。・・・とても、息苦しい。 -Feb/11/1998-
|