[小説 時] [96 事情] |
96 事情
いらっしゃい。・・・おや、どうしたの?おじゃまします。 何かあったような顔だね? 急に、事情が、込み入ってきまして、・・・。 すんなりとはいかない男だね。・・・そう、少し前に会社から電話があったよ。 今日は来なかったことにして下さい。 それが良いだろうな。 何もなければ、此処へ来ることもなかったんですが、・・・。 そんなに難しい話とは思えないんだけれどね。と云うことは、向こうの方が良いんだろう? そうですね。できれば、・・・。 もうすぐ空くだろうから、それまで此処で我慢してよ。 その電話、・・・誰からでした? 名前は言わなかったが、男の人だったよ。・・・いらっしゃいませ。・・・どうぞ、・・・。 そうですか。 名前を言わなかったということは、それ程大事な用件でもなかったんだろう。それとも、何か心当たりでもあるのかい? いえ。別にありませんが、何でしょうね? さあね。電話があったことも知らないのに、そんなことを心配するはおかしくない?・・・お会いするのは、初めてでしたか? いえ、二度目です。 そうですよね。・・・何処かでお会いしたような気はするんですが、どうも思い出せないんですよ。何処でお会いしましたっけ? 二年程前に、ヨットでご一緒したことがあります。 -Feb/22/1998-
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