総合目次のページ 小説です 当サイトの全ページを一覧でご覧いただけます すべてのページの更新履歴です
[小説 時] [104 説得]

104 説得

 そう。・・・分かった。・・・家に着いたら、お父さんに、もう一度話がしたい、都合の良い日を連絡して欲しいと、伝えて欲しい。
 どうするの?
 もう一度、話をしてみるよ。考えていることを、残らず話してみるよ。
 そうね。・・・それ以外に、方法はないでしょうね。
 だが、できるだけ遅い方が良い。
 あなたは、もう、自分の都合を言える立場じゃないのよ。
 そうだろうね。・・・全く、その通りだ。
 分かったわ。・・・できるだけ、やってみる。
 ありがとう。
 自信はある?
 何?
 お父さんを説得できる?
 それは判らない。
 ねえ、約束して頂戴。
 何を?
 できるだけ早く、・・・そして、必ず、説得する、って。
 その心算だよ。
 心算?
 勿論、できるだけのことはするよ。確かに、それしか方法はないんだから、・・・。
 ありがとう。ありがとう。連絡する、・・・必ず。
 悪かったね?
 ええ。
 もう、降ろしても良いよ。
 いえ。
 どうして?
 どうしても、・・・。
 解らないね。
 そう?
 どうしても理解して貰えないようなら、あの男のことは諦めるよ。
 それでも、・・・。
 それでも?
 ええ。・・・年齢をとったもの。
 お陰で、理解できないことが増えた。
 いえ、・・・今まで解らなかったことが、良く解るようになったわ。

-Feb/28/1998-

・・・つづく・・・



総合目次のページ 小説です 当サイトの全ページを一覧でご覧いただけます すべてのページの更新履歴です