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[小説 時] [128 誤解]

128 誤解

 噂は本当なのか?
 まさか、噂と冗談は深刻に考えないのが利口ですよ。
 何の影響もなければ、そんなことは無視するか、笑って済ますだろうな。
 お父さんも、そう思っているの?
 事実だからな。経緯を考えれば、止む得ないところもあるが、・・・。
 事実?・・・何が?
 そう云う噂が立つのも無理はないと言ったんだ。
 聞きたいのは、噂の中身を信じているかどうかだよ。
 お前ならいかにも考えそうなことだ。
 噂の出所は何処?
 はっきりしないが、考えられるのは一か所しかないだろうな。
 そうでしょうね。だって、他の人には何の役にも立たない話だもの。
 何故断わったりしたのか、未だに理由がさっぱり呑込めないよ。
 でも、尤もらしい理由が付いているんでしょう?
 だから、ありもしない腹を探られることになるんだ。

 誤解のないように言っておきますが、断わったのは向こうです。今、あの家がどんな状態にあるか、兄さんも知ってるでしょう?・・・そんな時に、何も選りに選って頼りにならないことが分かっている方を選ぶなんて、馬鹿気てる。そうでしょう?・・・彼女には、まだ充分利用価値があるんですから、それを使わない方法はありませんよ。それが当然です。・・・同じような立場にある人なら、例外なく同じような選択をするでしょうね。それを責めることは、誰にもできない。
 その話は誰に聞いた?
 お父さんや叔父さんじゃないことだけは確かだよ。

-May/31/1998-

・・・つづく・・・



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