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[小説 時] [132 行儀]

132 行儀

 気の利かない幹事が無理を言ったんでしょうね?
 とんでもありません。
 きっと、ご迷惑を掛けることになるでしょうが、今日は宜しくお願いします。
 そう云うことは気にされないで、ゆっくりなさって下さい。それとも、・・・何か、思い当たることがあるんでしょうか?
 お世辞にも行儀が良いとは云えない連中ばかりですからね。
 何かある時には、何時も胸騒ぎがします。でも、今日は、しませんでした。
 そうですか。
 母の跡を継いで、もう、五年になります。
 あなたのそう云う言い方を聞くと、時々怖くなりますよ。何を考えているのか見透かされているような気がして、・・・ね。
 それは買い被りです。ご存知の通りののんびりした性格ですから、そう見えるのかもしれませんが、あなたが仰るようなことはありませんので、ご安心下さい。

 今夜は、長い夜になるでしょうね。
 此処に座られたら、もう外のことはお忘れになって下さい。
 そうですね。
 そろそろ失礼します。幹事の方が、おいでになる時間ですから、・・・。この部屋は、何時でもお使いになって下さい。それから、あまり飲み過ごされませんように、・・・。
 ええ、そうします。ところで、一つだけ聞いておきたいことがあるんですが。
 何でしょうか?
 幹事から、何か、話を聞きましたか?
 えっ? ええ、勿論です。
 そうでしたね。確かに、もう少しはっきりと質問すべきでした。それにしても、何時ものことながら、あなたには感心しますよ。
 どうしてでしょうか、幹事の方と打ち合せするのは、当然のことじゃありませんか?
 そう、当然でしょうね。

-Aug/15/1998-

・・・つづく・・・



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