[小説 時] [134 幹事] |
134 幹事
しかし、・・・。その話は後にしようじゃないか。・・・まずは、一杯くれよ。・・・それにしても、これでやっと、幹事の仕事から解放されるって訳だ。しかし、年に一度のことだとは云え長いよな、二年は。一年交代にして貰わないと、その内に引き受け手がいなくなるぞ、多分、・・・。 好運だった。お前がいなかったら、どうすることもできなかったろう。 それはどうかな。・・・まだ終わった訳じゃない。これから始まるんだ。・・・無事に済んでくれれば良いと思っているよ。 そうだね。 もう一度聞くが、・・・変わらないんだな? 今からでは、変えようがないんだよ。 まだ間に合うぞ。彼女も、今ならまだ、許してくれる。 ありがとう。だが、もう良い。 その思い込みが、お前の不幸の始まりだと思うね。 もうそれも、今夜で終わりだよ。 そろそろ行こう。・・・後は、お前に委せる。只、どんなことがあっても、これからは誰も手を貸せない。それだけは良く頭に叩き込んでおいてくれよ。 分かった。只、笑わないでくれよ、・・・手も足も、震えている。 酒を飲めば、すぐに止まるさ。それでも止まらなかったら、諦めるんだな。お前を除いては、みんながそれを望んでるんだから、・・・。今は、後悔してる。どうして無理遣りにでも止めさせられなかったのか、ってね。そのお前が震えもせずにいるようなら、殴り付けてやっただろうよ。・・・遅れるんじゃないぞ。 時間を見計らって部屋を出た。 -Aug/15/1998-
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