[小説 時] [138 礼儀] |
138 礼儀
やあ、遅れてすまん。何時ものことだ。驚かないよ。 お二人さん、難しそうな顔をして、一体何の話だい? こいつに関する有名な噂についてさ。お前は何か聞いたことがあるか? 質問をする前に、君達は何か忘れてはおりませんか?・・・まずはこれだよ。それが礼儀と云うもんじゃないか、諸君? 遅れて来るのは、この辺りじゃ礼儀なのか? 正月早々そう云う言い方は良くありませんよ。 相変わらずだな。 狐や狸じゃあるまいし、そう簡単には変われませんよ。 こいつも知らないらしいな。 いいや、聞いたことはありますよ。この変質者が、執念深く他人の尻を追い掛け回していると云う話だろう?・・・もう少し良い趣味を持つように、忠告したいと思っていたところなんだ。 もう少し詳しく話せよ。 本人が此処にいるんだから、俺が解釈することもないだろう。 本人の口から話すようなことじゃないとさ。 どうやら差し違える覚悟ができたらしい。そう云うことだろう、変質者君? 冗談じゃない。 婚約を解消してまで、・・・。 婚約はしていない。 本当なのか? 調べてみたことは確かだよ。 それで、どうだったんだ? 何も、・・・。 今でもまだ調べているのか? いや、・・・。 -Dec/6/1998-
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