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[小説 時] [145 狂騒]

145 狂騒

 最後の儀式が済んで、迎えの車が着き始めると次第に人は退き始める、それでも、部屋には思い切れない何人かが残る、散乱している徳利を振り回しながら、微かにでも望みのあるものの悉くを掻き集めて、狂騒の最後を締め括る、・・・。

 大丈夫か?
 これで終わりなら、静かに飲み直したいところだよ。
 今、電話をして貰ってる。・・・少しなら時間はあるぞ。飲むか?
 電話って、・・・何処へ?
 車だよ。あれじゃ、歩いては行けないだろうからな。
 まさか歩いて、・・・。えっ?
 勿論、そうじゃない。・・・こんな時には、何時も寄るところがあるだろう。今回だけは、温泉なんかより遥かに増しだと思うね。
 それじゃ、行かないことにしたのか?
 さあ、そんな話があるとは知らなかった。・・・頼まれていたのは、車を手配して運転手に店の場所を説明して欲しいと云うことだけだよ。
 少し酔っているのかもしれないな。話がどうも分からない。
 そんなことはどうだって良いんだよ。これで、遠くまで追いかける必要がなくなったんだから、それで充分だろう?
 そうだな。・・・清めの酒を、少し、飲もうか。
 頼んで来るよ。
 感謝してる。
 その台詞はまだ早いんじゃないか?・・・しかし、これでやっと、お役ご免だよ。

-Dec/20/1998-

・・・つづく・・・



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