[小説 時] [147 商売] |
147 商売
お待たせしました。どの位かかりそうでしょうね? もうそろそろだと思います。 そうですか。・・・ところで、あなたは、何を知っているんですか? 酔っていらっしゃるんですか? 質問の意味が、分かりませんか? いえ、・・・。でも、どうして何度も同じことをお尋ねになるんですか? あなたの咽喉の奥にある答えが聞きたいからですよ。 わたしが嘘を付いていると仰るんですか? そう。あなたの返事には、今までに一度だって間違いがなかったことは確かですよ。でも、それが全てじゃない、・・・何時も、充分じゃなかった、何かが足りなかった、・・・違いますか? 何故そんなことを仰るのか、分かりませんが、・・・。 事実なら、どんなことでも知りたいと云うのが望みです。 例え事実でも、知らない方が良いと云うことだってあるんじゃありませんか? それは、あなたではなくて僕が判断することです。 でも、知ってしまったら、判断の余地はなくなってしまうでしょう? ・・・確かに、そうですね。 此処にいると、いろいろな話が耳に入って来ます。こう云う商売ですから、当然だと思われるかもしれませんが、でも、聞いてはいけない話かどうかは、すぐに分かるんです。そう云う時には、急に耳が使えなくなるんですよ、・・・本当に。 -Dec/20/1998-
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