[小説 時] [163 途中] |
163 途中
今まで、歩いて帰ったことなんか一度も無かったんですよ、あの男。・・・あのカウンタの中にいた女、覚えていらっしゃいます?・・・あの女がお気に入りで、帰る時は何時も一緒だったのに、・・・。そうですか。あまり付き合いがありませんから、普段のことは良く分かりませんが、・・・気が利かなかったかもしれませんね。・・・約束さえしてなければ、・・・。 今夜は、お客さんもあの女も、ちょっとついていなかったみたい。 あなたも、彼も、・・・ね。 でも、こう云う日って、年に何度かはあるのよね。 そうですね。・・・あるかもしれませんね。 どの辺りなんですか? あの角を右に曲がって、すぐですよ。 でも、大丈夫かしら、・・・。 何が? 大分酔っていたでしょう?・・・だから、・・・。 何か、気に掛かることでもあるんですか? 前に一度、大分前のことですけど、酔って帰る途中で、店のショウウインドウを壊したことがあって、・・・本人は覚えていないって言うんですが、・・・。それからは必ず車で送ることにしてたんです。・・・その時も、一人でした。 でも、今夜は大丈夫でしょう、・・・多分、・・・。 ごめんなさい。こんなこと、初めての方にお話しするようなことじゃありませんでしたよね。・・・今夜は、何か、みんな、変ね。 -Oct/3/1999-
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