[小説 時] [167 用意] |
167 用意
お帰りなさいませ。ええ、・・・。 少し、お休みになったら如何ですか? そうしたいんですが、只、・・・。 まだ誰か残っているんですか? いえ。もう皆さんお帰りになりました。 もし都合が悪くなければ、少し付き合って下さいませんか。一人じゃ、この男、ちょっと持て余しそうですからね。 でも、お邪魔じゃありませんか? それに、大分お疲れのようですし、・・・。 いいえ。 そうですか。それじゃ、もう少しだけ片付けが残っておりますので、それを先に済ませて参ります。・・・何か、召し上がりますか? 酒と、何か・・・。 賄いさんがもう帰ってしまって、有り合わせのものしか用意できませんが、それでもよろしければ、・・・。 それで充分です。 承知致しました。・・・それでは、後程、・・・。 少しお手伝いしましょう。 まさか、お客様にそんなことをして戴く訳には参りません。 構いませんよ。想像もできないでしょうが、数少ない趣味の一つが、実は、後片付けなんです。勿論、ご迷惑なら無理にとは言えませんが、でも、少なくとも猫よりは役に立てると思いますよ。 -Oct/3/1999-
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