[小説 時] [171 着替] |
171 着替
昨日、何があったのか、・・・どうしても思い出せないんです。どうしても思い出せないようなことを、どうして思い出そうとするの? 何か、大事なことのような気がして、・・・。 思い出せないのは、そんなに大事なことじゃないからよ、きっと。 そうでしょうか。・・・それが思い出せないと、これからどうしたら良いか、分からなくなってしまうような気がしているんですよ。 どうしたら良いか、って、はっきりしてるでしょう? そうね、まずは起きること、それから、顔を洗って、食事をして、着替え、・・・。 そこまでは分かります。分からないのは、それから先のことなんですよ。 それから先のことは、まず目を覚まして、それからゆっくり考えてみるのね。・・・だって、種を蒔いたのはあなたなんだから、どんな芽が出るかもあなたが一番良く知っている筈でしょう? と云うことは、手入れをするのも刈り取るのも、やっぱりあなたの仕事なのよ。 そうでしょうね。あなたの言うことは正しい。・・・起きましょう。・・・まずは、それからにしましょう。 それが良いわ。まだ少し時間があるから、きっと思い出せるわよ。 朝から、つまらない話でしたね。 良いのよ。あなたの気持ちが少しでも軽くなれば、わたしも嬉しいわ。 ありがとう。 -Jan/22/2000-
|