[小説 時] [181 雪道] |
181 雪道
静まり返っていた街にも、忘れ掛けていた活気が戻っていた。ただいま。 一体、どうしたの? お陰さまで、無事に一仕事を済ませて来ましたよ。後は、これで大団円なら、もう何も言うことはないね。 あなたのことを心配して、みんな大騒ぎなのよ。冗談を言っている場合じゃないでしょう! 冗談だなんて、とんでもない。・・・お父さんは? 叔父さんと一緒に、警察へ行ったわ。 そう。・・・それじゃ、戻るまでには、まだ大分時間がありそうだね。・・・それまで、少し休んでおきたいよ。あの二人が帰って来たら、きっと、そんなことは許して貰えないだろうから、・・・。 その前に、何があったのか、きちんと説明しなさい。 知っているんでしょう?・・・二人揃って警察なんて、只事じゃないものね。 そうよ、大騒ぎよ。 その話は、どうせ後ですることになるんだから、もう少し待ってくれないかな。・・・何しろ、朝からづっと絞られ続けた上に、雪道を歩いて帰って来たんだよ。もう、逆さ吊りにされたって、何も出ないよ。 昨日の電話、何だったの?・・・ねえ、正直に答えて頂戴。・・・何があったの? 熱い風呂に入りたい。・・・昨日の酒がまだ残っていて、これを絞り出さないことには、どうしようもない。・・・お母さんなら、きっと、そうしてくれただろうな。 こんな時にお母さんを持ち出すことはないでしょう? ・・・あの男は、死んだよ。 -Jul/15/2000-
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