[小説 時] [183 本意] |
183 本意
本当にそれだけ? 他に隠していることはない?何も、・・・。だって、それが事実の全てなんだから、・・・。 本当のことを言って、・・・お願いだから、・・・。 もう、生きていることに耐えられなかったんだろうな。その気持ちは良く解るよ。 真面目に答えて、・・・。聞いているのは、そう云うことじゃないわよ。 やっと責任を果たせたんだから、もうこれ以上、責めることはないでしょう? どうして一緒だったの? なかなか車が捕まらなくてね、大分待たされたよ。やっと捕まって、残っていた二人が纏めてそれに押し込まれた。その一人と云うのが、たまたまあの男だったと云う訳でね。・・・それだけだよ。他に理由があった訳じゃないんだ。 その後は? 飲んだ時には何時も寄る店があって、そこで一杯付き合うことにした。 どうしてそこで分かれなかったの?・・・一緒に飲む相手じゃないでしょう?・・・そうしていれば、巻き込まれることもなかったのに、・・・。 二人だけになる良い機会だと思ってね。・・・どうしても、決着を付けたかった。 それで、話はできたの? 話ができる状態じゃなかったし、そもそも、そんな心算は始めからなかったよ。 それじゃ、こうなることは始めから分かっていたのね? その通りさ。・・・でも、手を出すまでもなかった。 警察でもその話はしたの? まさか、する訳がないでしょう。・・・今の話は、お父さんやお兄さんにも内緒にしておいて欲しいんだ。そうでなくても、これまで随分迷惑を掛けたし、その上心配まで掛けるのは本意じゃないから、・・・。 それが良いわね。・・・でも、驚いたわ。まさか、そんなことを考えているなんて、想像もしていなかったから、・・・。 これでやっと風呂に入れるかな? -Jul/15/2000-
|