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[小説 時] [185 結婚]

185 結婚

 何も話すことはないよ。
 お前に話すことはなくても、向こうには聞きたいことが幾らでもある。
 そうだろうね、きっと、・・・。
 聞かれたことに答えるだけで良い。・・・向こうは、こんなことがあったばかりで、相当興奮している。あまり刺激するんじゃないぞ。
 そんな元気は、もう、残っていないよ。・・・迷惑を掛けたね。
 後悔しているのか?
 いや、そんなことはないよ。・・・そう云うことを言っているんじゃないんだ。
 それなら、それで良いじゃないか。
 ありがとう。それだけが、づっと気掛かりだったよ。

 もう済んだことだ。・・・そんなことより、結婚の方はどうする心算なんだ?
 諦める外はないでしょうね。だって、こんな時に蒸し返したら、あの噂は本当だと云うことになってしまう。それじゃ都合が悪いでしょう?
 お前に後ろめたいことがないなら、何の遠慮もいらないじゃないか?
 そう言って貰えるのは嬉しいけど、でも、叔父さんに、この年齢になったら少しは周りのことも考えなさいって言われたんだ。全く、その通りだよね。
 それとこれとは別の話だ。もう一度、話をしてみたらどうなんだ?
 半年前にできなかった返事が、どうして今ならできるのか、その説明を避けては通れないでしょう?・・・納得できるような話は聞けそうもない、期待していたものも手に入れることができなくなった、増してや、僕は容疑者なんだよ、・・・逆の立場なら、そんな男の顔は見たくもないだろうね、きっと。
 そこまで気を回すことはないだろう。
 そうかな?・・・ところで、今度の選挙はどうなるんだろうね?
 そんなことは、お前が心配することじゃない。・・・それよりも、お前は、自分のことだけを考えていれば良いんだ。
 心配している訳じゃないんだよ。只、どうする心算か、とても興味があるんでね。

-Jul/15/2000-

・・・つづく・・・



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