[小説 時] [188 現実] |
188 現実
暫く前に見た夢を思い出していた。何を待っているんですか? えっ?・・・バスを、待っているんですが、・・・。 そうでしょうね。此処はバス停ですからね。でも、もう最終は出ましたよ。 そうですか。・・・あなたは、何を待っていらっしゃるんですか? 勿論、バスを待っているんですよ。此処はバス停ですからね。 今、最終はもう出たと仰いましたね? ええ、出ましたよ。 それじゃ、待っても無駄じゃありませんか? どうして無駄なんですか?・・・まさか、本気でそんなふうに考えているんじゃないでしょうね? でも、もうバスは来ないと仰ったばかりじゃありませんか? そんなことを言った覚えはありませんね。 でも、最後のバスは出たって、・・・。 ええ、確かに、そうは言いましたよ。でも、もう来ないなんて、そんなことは言いませんでしたね。 それはそうですが、・・・。 どうです、あなたも待ってみませんか?・・・来ますよ。・・・待っていれば、何時か、必ず、・・・ね? どうです? それが現実の夢の始まりだった。そして、今、夢は醒めた。 -Jul/15/2000-
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