【日本語を読むための漢字辞典】 『三字熟語・五字熟語の辞典』
『広漢和辞典』・『大漢語林』・『大修館現代漢和辞典』・『現代漢語例解辞典』・『辞書が教えない三字熟語』・各種ことわざ辞典から抜き出した3字熟語・5字熟語に、鉄人風解説をつけました。
【あ行】
[愛煙家(あいえんか)]
漢和辞典にこんな言葉が載っているなんておどろきなどと言っていられない。先日出た『現代漢字語辞典』には、「豆板醤」まで載っていた。ところで、「愛煙家」って、煙でなく、たばこを愛好するんですよね。たき火や魚を焼く時の煙まで好きなわけないですからね。
[紫陽花(あじさい)]
『辞書が教えない三字熟語』によると、中国で「紫陽花」といえば、ライラックのことだそうである。
[安本丹(あんぽんたん)]
愚か者、阿呆のより俗的な言い方。
[偉丈夫(いじょぶ)]
見るからに頑丈そうで健康な人のこと。
[一周忌(いっしゅうき)]
なくなって1年目の同月同日。三周忌は2年目で、二周忌というのはないという解説が載っている辞書を見たことがないような気がする。
[一張羅(いっちょうら)]
とっておきの一枚の晴れ着のこと。「羅」とは、夏に着る薄絹のことだが、「一張羅のコートなんて言うのは本来おかしいのかな」などと考える必要はない。
[有頂天(うちょうてん)]
まわりが気にならないほど、とても喜んでいる様子。
[運鈍根(うんどんこん)]
幸運に巡り会うこと、鈍重で愚直であること、根気の良いことが、成功の秘訣であるということ。鉄人は、鈍重だけは自信があるが、「運鈍根」全てというと自信がない。いい辞書づくりにも言える言葉であると思われる。
[似而非(えせ)]
偽物のこと。似非ともかく。
[横海鱗(おうかいりん)]
「海いっぱいになるほど大きな魚。転じて大人物のこと。」ということだが、そんな魚どうやって生活したのだろう。「漢字の中のモンスター」達に引けを取らない大きさであることは確かなようだ。
[大晦日(おおみそか)]
「みそか」は、30日で、最後の30日で年の終わりの日をいった太陰暦から来た言葉。太陰暦の30日は、新月で月が出ないため、「晦日」の字を当てる。
[御釈迦(おしゃか)]
出来損ないもしくは壊れてしまったもの。
[幼馴染(おさななじみ)]
小さいときからの友人知人のこと。
[御陀仏(おだぶつ)]
だめになる、もしくは亡くなること。
[未通女(おぼこ)]
読んで字の如し、生娘のこと。
【か行】
[金釘流(かなくぎりゅう)]
金属に釘で書いたように見える下手な字のこと。
[空威張(からいばり)]
虚勢を張って威張ってみせること。
[我楽多(がらくた)]
他人には役に立たない雑多なもの。
[閑古鳥(かんこどり)]
かっこうのことだが、現代では「閑古鳥が鳴く」という慣用句以外で使われることはまずない。
[稀覯本(きこうぼん)]
滅多に見られない珍しい本のこと。
[橋頭堡(きょうとうほ)]
戦争または勢力拡大のための拠点。雑誌紹介もサイト発展のための一つの橋頭堡となりうる。
[金字塔(きんじとう)]
エジプトのピラミッド。転じて、永く公正に伝わるような優れた著作や事業のこと。間違っても、『和製漢字の辞典』は、国字界の金字塔であるなどといってはいけない。鉄人がのぼせ上がるだけである。
[下手人(げしゅにん)]
殺人犯の古い、もしくは俗的な言い方。
[下馬評(げばひょう)]
世間の無責任な評判。
[喧嘩両成敗(けんかりょうせいばい)]
事の善悪によらず、喧嘩をしたもの両方を処分するというのであるから、一方的に喧嘩をふっかけられた側にはたまらないことであるし、喧嘩っぱやい人には都合のいいことわざである。
[効果的(こうかてき)]
「的」という字がつく三字熟語は多いと思われるが、効果的ほど使われる言葉はないであろう。効果的とか効率的という言葉は、それを考えている人にとって、商売人の殺し文句のようなものであるからだろう。
[黄頷児(こうがんじ)]
乳を飲む子。人を見さげて言う語であるが、よほどの上下関係がなければ使えない言葉であろう。
[考現学(こうげんがく)]
「考古学」と反対に、現在のことを研究することらしいが、耳で聞いたのではわからず、字で見て説明を受けて、なるほどと思うようなものである。
[強力犯(ごうりきはん)]
強盗・障害など暴力を行使する犯罪者のこと。
[古古米(ここまい)]
収穫して二年たった米のことだが、三年以上たった米は、年数だけ「古」の字が増えるのだろうか。そんな米を政府は、朝鮮人民民主主義共和国に支援したそうだ。日本人なら食味の問題から、よほどの飢饉でも起きないと食べないものであろう。
[腰巾着(こしぎんちゃく)]
金魚の糞のように、権力者について回る人のこと。
[五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)]
出典は、『孟子』。戦場で五十歩にげた兵が百歩にげた兵のことを笑ったが、逃げたということに違いはないというように、多少違っても、たいした違いではないということ。ネット上のことわざ辞典は、見かけの差はあっても五十歩百歩で、たいした違いではない。
[御新造(ごしんぞう)]
奥さんの意の丁寧な、もしくは古くさい言い方。
【さ行】
[三周忌(さんしゅうき)]
なくなって2年目の同月同日。1年目は一周忌で、二周忌というのはないという解説が載っている辞書を見たことがないような気がする。
[自然藷(じねんじょ)]
里芋に対し、山に自生する「ヤマノイモ」のことをいう。
[食用花
文字通り食用になる花で、菊・菜の花などが有名。
[素封家(そほうか)]
そこそこの財産を持っている人、俗にいう大金持ちのこと。
【た行】
[太極拳(たいきょくけん)]
健康体操のように思われて久しいが、本来は、中国を代表する武術。
[太平楽(たいへいらく)]
「何も心配なことがなく、のんきでいられる」という意味のほかに、「人の批判を気にかけず、好きなことをする」という意味もある。中華料理店に「太平楽」という店があったが、社長は、後の意味を知らなかったのであろうか。
[手弱女(たおやめ)]
温厚穏和でしなやかな女性のこと。
[棚牡丹(たなぼた)]
棚からぼた餅の略で、思わぬ良いことがあること。
[猪口才(ちょこざい)]
こざかしく生意気なことで、「猪口」は、あて字。
[超特急
「ひかり」・「のぞみ」など特急より速い列車。
[出鱈目(でたらめ)]
いいかげんなこと。
[鉄面皮(てつめんぴ)]
自分のことを鉄人などと称する厚かましくも厚顔無恥な人のことをいう。
[豆板醤(とうばんじゃん)]
麻婆豆腐などに入れる空豆から作った中国の味噌風醤油。
【な行】
[生意気(なまいき)]
知ったかぶりをして出しゃばったり、差し出がましい言動をしたりすること。なんか鉄人のことをいわれているような気がする。
[微温湯(ぬるまゆ)]
ややぬるく感じられるぐらいの湯。
【は行】
[白眼視(はくがんし)]
冷たい目つきで人を見ること。晋代の阮籍が、嫌いな人には白眼で対し、気に入った人は青眼で迎えたという故事による。白眼とは白目がちの目で、青眼とは黒目がちの目のことをいうというのは知ってましたか。
[裸一貫(はだかいっかん)]
自分の身以外頼るものが無いという意味。重さの単位「一貫」は、.75kg。生まれたばかりの赤ん坊は、3kg前後だから、赤ん坊のように頼るべき何も持たないという意味で作られたことわざなのであろうか。鉄人の戯言と聞き流していただきたい。。
[爬虫類(はちゅうるい)]
爬虫類って、はっきりした定義がないって知ってましたか。脊椎動物のうち、魚類・両生類・鳥類・哺乳類以外のものを爬虫類というそうです。本当かと念押しされても、生物学者でない鉄人には責任はとれません。
[話半分(はなしはんぶん)]
人の話は誇張が多く、話の半分を信じるぐらいでちょうど良いということ。鉄人のサイトが全て合わせて30回以上雑誌に載ったというのは事実であるが、鉄人自体、話半分でもすごいことだと他人事のように思ってしまう。
[半可通(はんかつう)]
通人ぶるが、中途半端な知識しか持っていないこと。鉄人には耳の痛い言葉である。
[非国民(ひこくみん)]
国策に反対するものをおとしめていう非常に政治的色合いの強い、全体主義的でもある言葉である。
[非常識(ひじょうしき)]
この言葉を使う人の常識と相手の常識が大きく食い違うことを示しているにすぎないと鉄人には感じられる。環境その他によって、常識なんてものはかわるのであって、俗に「あんたの常識、私の非常識」というくらいのものである。
[風来坊(ふうらいぼう)]
放浪して一所に居着かない人のこと。
[貿易風(ぼうえきふう)]
南北20~30度付近から赤道に向かって年中吹いている東よりの風で、昔、貿易船がこの風を利用したところからの名称という。
[本来無一物(ほんらいむいちぶつ)]
「世の中全てのことにとらわれない心境」と言うことらしいが、「言うは安し行うは難し」の見本である。ある物語風の仏法書に次のような話がある。本来無一物について民衆に説法した僧に対して、先輩僧侶が「教化しようとする心が無ではない」と説く。これを聞いたその師匠が、「無であるとか、無でないとか言うこと自体無ではない」と説く。このように繰り返して10人以上の話が続き、最後に高僧が、「無を考えること自体、無ではない。無とは永遠にとらえることのできないもので、私にもよくわからないものである。」といって話をまとめたという眉唾物の話である。
【ま行】
[眉唾物(まゆつばもの)]
信用の置けないもの。
[水菓子(みずがし)]
「果物」のことである。なるほどと思うが、「菓子」って昔は「果物」のことをいったんじゃなかったかなと思うと不思議な言い方でもあるし、ぱっと見ると「氷菓子」と見間違いそうだ。
[身代金(みのしろきん)]
誘拐犯がさらった人の解放と引き替えに要求する金銭のこと。
[冥加金(みょうがきん)]
「神仏の加護に対して奉納する礼金」という意味より、「商人などが営業許可を受けた謝礼として領主に納めた金」という方がしっくりくるが、ひらたくいえば、特権を得るための金で、後の賄賂につながったのではと考えるのは、勘ぐりすぎか。
[無尽蔵(むじんぞう)]
とってもとっても取り尽くせないほど、限りなく多くあること。
[名誉職(めいよしょく)]
報酬や実権が伴わないということだが、そういうものが十分ある人が名誉のためにつくのであろうか。
【や行】
[八百長(やおちょう)]
報酬をもらって、わざと負けたり、失敗したりすること。
[野次馬(やじうま)]
火事場・事故現場などでの興味本位の関係のない見物人のこと。
[揚子江(ようすこう)]
「揚子江」と「黄河」、中国を代表する大河川であるが、単に「江」といえば「揚子江」を、「河」といえば「黄河」を指すって知ってましたか。
[養嗣子(ようけいし)]
旧民法で、家督相続人となる養子のことだが、旧民法下の昔から相続登記がきちんとできていない不動産でもあれば、過去の話ではすまされないこともあり得る。
[余所見(よそみ)]
脇見(わきみ)すること。
【ら~】
[立太子(りったいし)]
『現代漢語例解辞典』によると、「公式に皇太子を定めること。」だそうだが、これはなるほどとわかる。立后は、「三后(皇后・皇太后・太皇太后)を公式に定めること。」だそうだが、皇后はともかく、皇太后は天皇の母親だし、太皇太后は天皇の祖母であるのに、公式に定めるとはどういうことだろう。天皇が公式に位を継いで、三后は初めて公式に定まるということなのだろうか。
[竜吐水(りゅうどすい)]
『大修館現代漢和辞典』に「江戸時代から明治時代まで用いられた手押しポンプ式の消火器。」とある。名前ほどは勢い良く出なかったのではと思うのは鉄人だけだろうか。