Dec/16/2012
「ヒイラギ(柊,疼木)」です。場所によっては、盛りを過ぎてしまったかもしれませんが。濃い緑色の葉と小さく白い花が印象的です。葉には鋭い鋸歯(葉の縁のギザギザ)があり、触ると傷むことから「疼木」という漢字が当てられています。以前は、この鋭い歯のトゲトゲが魔除けになるということから、家の入口の外側に飾られました。西洋でもクリスマス用のリースに使われますが、同じような意味があるのでしょうか? 葉に目が行きがちですが、花も可愛らしんですよ。小さい四弁花で、「
ウスギモクセイ(薄黄木犀)」と同じモクセイ科です。
Nov/18/2012
「キクザキセンダングサ 'イエロー・キューピッド'(菊咲栴檀草 'イエロー・キューピッド')」です。別名の「ウインター・コスモス 'イエロー・キューピッド'」の方が一般的かもしれません。「
コスモス」が盛りを過ぎる頃から、寒さが厳しくなり始める初冬にかけて、柔らかい黄色と白色の可愛らしい花を咲かせます。「コスモス」に似た花が「冬場に咲く」ということから「ウインター・コスモス」の名があります。黄色や白色単色のものもありますが、やはり色合いが良いこの「イエロー・キューピッド」に人気があるようですね。花径は5cm前後と「コスモス」に比べて幾らか小振りでしょうか、草丈は50cm前後です。ちなみに「ウインター・コスモス」はキク科センダングサ属、「コスモス」はキク科コスモス属です。
Oct/28/2012
「シュウメイギク(秋明菊,秋冥菊)」です。「キク」という名が付きますが、キク科ではなく、「アネモネ(
Anemone)」などと同じキンポウゲ科の植物で、英名も「japanese anemone」といいます。花弁の数は一定しないようで、色はピンク・紫・白など数多く、八重咲きの種もあります。花は5cm前後、草丈は50-100cm程でしょうか。花は柔らかそうで、落ち着いた感じの色合が、可愛らしいですね。ところが、今まで知らなかったのですが、この花びらは、萼片(がくへん)なのだそうです。でも、美しさには変わりありません。もうそろそろ見納めの時期ですので、見掛けられましたら、是非ゆっくりとご観賞ください。
Oct/14/2012
「コスモス(秋桜)」です。厳密にはキク科コスモス属の植物の総称ですが、一般的には「
Cosmos bipinnatus」を指します。花は5-10cm程、草丈は1-2m程でしょうか。和名を「秋桜」といい、その名の通り、花は大変形が良く、色も清楚で落ち着きがありますね。英名の「cosmos」も、「調和したもの」の意味があります。メキシコが原産で、原種の花色はピンクなのだそうですが、今では白・濃いピンク・薄黄などがあり、更に一重から八重咲きまで、さまざまな種があります。厳しかった夏と、これから訪れる厳しいであろう冬の、その間の心地よい季節に、心和ませてくれる花です。そよ風にゆらゆらと靡く姿は、それはもう、感動で思わず涙が出てしまうほど美しい!
Sep/30/2012
「リンドウ(竜胆)」です。ただ、リンドウ科リンドウ属の植物は大変種類が多く、どれもよく似ていますので、或いは間違っているかもしれません。花の色としては珍しい青色で、それは確かにかなり強い印象を与えますが、それ程自己主張が強いわけでもなく、形も端正で、可愛らしい感じがする花です。昔から愛された花だということで、秋のお彼岸に供える花には欠かせませんね。このリンドウは、中国名を「long dan」といい、この音を「竜胆」という漢字に当てたものではないかと思っています(確かではありません)。そしてこの「long dan」は、リンドウの根茎を乾燥させた生薬で、日本では「竜胆(りゅうたん)」と呼ばれ、胃腸の調子を整える薬効があるとのことです。
Sep/16/2012
「コウホネ(河骨,川骨)」です。スイレン科の植物で、池などの水中や水面に黄色い花を咲かせます。五弁の花びらに見えるものは実は萼(がく)で、中央から放射状に広がっているものが花びら、中央の丸い部分が蕊(しべ)です。「コウホネ」とは別に、オレンジ色の「
ベニコウホネ(紅河骨,紅川骨)」があります。が、「コウホネ」にもオレンジ色のものがあり、どのように区別すべきか、それとも交雑したものか、以前から悩んでいるのですが、なかなか解決しません。それはともかく、夏の始め頃から咲き出す眩しい黄色い花に、葉の緑も良いですね、散歩の度に癒されます。「コウホネ」の根茎は、未見ですが、白くごつごつしていて、動物の骨のように見えるということから、この名になったそうです。
Sep/2/2012
トケイソウ科の「トケイソウ(時計草)」です。近くのお宅の窓際に設えたネットで、たくさんの花を咲かせています。最も外側の白い部分が萼で、放射状に伸びている部分が花冠(花びら)、中央の立っている部分が蕊です。更に、蕊は五本の雄蕊(写真では緑色の部分)と、その上の三本の雌蕊(写真では茶色の部分)からなります。正面から見ると、萼と花冠が時計の文字盤に、雄蕊が文字盤に書かれた時刻、蕊が時計の針のように見えます。まったく見事な形ですね。しかも、様々な形と色があります。英名を「パッション・フラワー(passion flower)」といい、「キリストが架けられた十字架」に見立てたもので、「受難の花」の意味です。
Aug/12/2012
「キョウチクトウ(夾竹桃)」です。木本で樹高は3m程、花の大きさはまちまちですが5cm程でしょうか、五弁の花(八重咲き種もあります)が渦を巻くような形になります。この形は、キョウチクトウ科の花によく見られ、「
テイカカズラ(定家葛)」や「
ツルニチニチソウ(蔓日日草,蔓日々草)」などもこの形ですね。それに、どれも色合いがよく似ていて、少し薄めで優しい色をしています。ただ、「キョウチクトウ」は「オレアンドリン(oleandrin)」という毒物を含んでいます。以前、この樹の枝を刺して焼いた肉を食べて中毒死するという事故もあましたので、決して口にしないように気を付けて下さいね。何しろ、「キョウチクトウ」の英名は、この毒物の名です。
Jul/22/2012
「オニユリ(鬼百合)」です。草丈は1~2m、花は下を向き20cm程でしょうか、オレンジ色の六弁の花に黒い斑点が特徴です。ひそかに、「鬼百合」という名は、オレンジ色の花弁と黒い斑点から、「赤鬼」にたとえたものではないかと思っています、英名も「tiger lily」ですので、・・・。まさに暑い季節に相応しい色の花ですね。葉腋(葉が茎に付く部分)に目を移していただくと、黒い種のようなものが見られると思いますが、これを珠芽(ムカゴ)といい、これが地に落ちて繁殖します。この珠芽は食用になり、鱗茎(「ユリ根」といった方が分かりやすいかもしれません)は百合(ひゃくごう)という生薬になるなど、古くから珍重された植物だったようです。
Jul/15/2012
「クチナシ(梔子,巵子,山梔子)」です。写真は八重咲種ですが、一重の六弁花もあります。どちらも少し厚みのある美しい純白の花弁で、濃い緑の葉とのバランスがとても良いですね。何より濃厚な甘い香りが特徴です。次第に花弁は黄色みを帯びていきます。実は、六つの突起を持つ独特の形をしています。初めは緑色ですが、次第に黄色みを帯び、最後にはオレンジ色になります。この実は、古くから、金団(きんとん)やたくあん漬けなどの食べ物の黄色の着色料として用いられる他、染料としても使われ、更に、乾燥させて粉末にしたものは山梔子(さんしし)と呼ばれ、炎症を抑える効果があるとされ、消炎・解熱・鎮静などの薬として利用されます。
Jun/24/2012
庭の「ガクアジサイ(額紫陽花)」が咲きました。この花に見えるものは「装飾花」と呼ばれ、萼(がく)に当たります。実際の花は、中央の小さくたくさん並んだ蕾のように見えるものと、装飾花の中央にあるもの(この種のように八重のものは殆ど分かりません、一重のものでしたら幾らか分かり易いのですが)です。周りを取り囲む装飾花を「額縁」に見立てて、「ガクアジサイ」という名になりました。この「ガクアジサイ」は日本原産なのだそうで、中央の蕾のような形の花を、全て装飾花になるようにしたものが「アジサイ」だということです。ともあれ、色も形も様々で、梅雨の走りの頃から目を楽しませてくれる美しい花です。
Jun/17/2012
「ニガウリ(苦瓜)」です。「ツルレイシ(蔓茘枝)」という別名がありますが、何といっても「ゴーヤー」という名が一般的でしょうか。ウリ科ツルレイシ属の蔓性植物で、黄色の五弁花を咲かせます。その実はかなりの苦味がありますが、好んで食用にされますね。個人的には、炒めたり揚げたり、一旦油に通したものが好きです。今週はその雌花をご紹介します。花の後ろにニガウリ独特のいぼいぼの実(小さくて可愛らしい)が見えると思います。これが暫く経つと立派な大きさになります。雌花はこのような小さな実の先に咲きますので、雄花と見分けやすいと思いますが、もう一つ蕊に注目、雌花は蕊が緑色で、雄花は黄色です。
Jun/10/2012
「ムラサキカタバミ(紫酢漿草,紫傍食,紫片喰)」です。少し前から路傍のあちこちで見ることができるようになりました。花弁はピンクで、中心に向かって次第に薄くなって中心部は緑色、その色合いが可愛らしいですね。似た花に「イモカタバミ(芋酢漿草, 芋傍食, 芋片喰)」があります。こちらは花弁全体が濃いピンクで中心部は濃い紫色、全体として「ムラサキカタバミ」よりも花の色は濃い印象です。二つは花や葉の形が良く似ていますので、見分ける場合は、蕊(しべ)の色に注目することをお勧めします。「ムラサキカタバミ」は白、「イモカタバミ」は黄色です。どちらも、これから暑い時期にかけて咲き続けます。
Jun/3/2012
スイカズラ科の「スイカズラ(吸い葛,忍冬)」です。咲き始めは白いのですが、次第に黄色味を帯びてきます。優しい黄色です。花の形が面白い上に、蕊も可愛らしいですね。別名を「キンギンカ(金銀花)」といい、これは花の白と黄を「銀」と「金」にたとえたもので、中国でもこの名が用いられます。和名の「スイカズラ」は、蔓性木本で蜜が甘いことから「吸い葛」なのだそうです。確かに英名の「honeysuckle」も「蜜を吸う」という意味ですね。「スイカズラ」を「忍冬(にんどう)」とするのは、干上がっても、水に浸かっても、寒さが厳しくても、枯れ死ぬことはないということからの漢名で、生薬として利用される際の名でもあります。
May/27/2012
ユキノシタ科の「ユキノシタ(雪の下)」です。上の三弁は0.5cm程で濃いピンクの斑点があり、下の二弁は1.5cm程で純白、足を開いたような形に伸びます。直立した花茎から多くの花柄(かへい)を伸ばし、その先に花をつけます。全体で2cm程のそれほど大きくはない花で、離れて見ると白い花のように見えるかもしれません。そのせいか地味な印象ですが、近付いてよく見ると、花の形といい、色合いといい、これが本当に素晴らしく美しいです。「ユキノシタ」の名の由来は諸説あるようで、定かではありません。多くは水辺、或いは湿気の多い日陰などによく見られ、葉は生薬として用いられるそうです。
May/20/2012
「ナガミヒナゲシ(長実雛罌粟)」です。この時期には、空き地や路傍によく咲いています。しかも、目に付く場所に咲いている上に、野生の花としては珍しいオレンジ色ですから、それはよく目立ちますね。これからやって来る暑くて厳しい夏を予感させるような色合いの花です。花はケシ科特有の四弁花で、同じ科の「ヒナゲシ(雛罌粟)」に似ています。「ナガミ(長実)」は、この「ヒナゲシ」の実よりも長いということからの名で、ほぼ二倍程の長さがあります。それだけに実に含まれる種が多いのでしょう、繁殖力が旺盛で、どうやら嫌われもののようです。可愛らしい花なのですが、残念ですね。
May/13/2012
「ヤマブキ(山吹,款冬)」です。「山吹色」の語源ともなった、優しくきれいな黄色です。それに、葉の緑とのバランスが絶妙ですね。バラ科ヤマブキ属(一属一種なのだそうです)の五弁花ですが、稀に六弁になることがあります。また、「ヤマブキ」は晩春の季語ですが、夏から秋にかけて再び咲いているのを見かけることがあります。基本的に二度咲きするものなのか、狂い咲きなのかは、よく分からないのですが、・・・。「ヤマブキ」で思い出すのは「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき(兼明親王)」という句ですが、これは多分「ヤエヤマブキ」ではないでしょうか。「ヤエヤマブキ」は実をつけませんが、「ヤマブキ」は可愛らしい実をつけます。
May/5/2012
「コデマリ(小手鞠,小手毬)」が咲き始めました。小さな白い花が塊になって、半円球状になります。これの形を毬に見立てて、「小さな手毬」の名が付きました。この花の塊が枝に沿って並びます。枝が細いので、重みで枝垂れますが、その姿も花も名前も、本当に可愛らしいですね。昨年は刈り込み過ぎたせいなのかどうか、あまり咲かなかったのですが、今年はぎっしりと咲いてくれました。あまり手をかけない方が良いのでしょうか?「コデマリ」に対して「オオデマリ(大手鞠, 大手毬)」があります。ただ、小花が鞠状になるところは似ていますが、それ以外は似ていません。全体の印象は、むしろ、「アジサイ(紫陽花)」に似ているでしょうか。
Apr/29/2012
少し前から「ハナズオウ(花蘇芳)」が咲き始めました。マメ科特有の蝶形花で、枝を取り巻くように数本~十数本の花枝を出し、その先に濃いピンクの花を咲かせます。その花の塊が枝に沿って並ぶさまは、それは綺麗ですよ。春に相応しい暖かい色ですね。近くの公園にも「ハナズオウ」が植えられていて、こちらは4-5m程もあるでしょうか、枝ぶりもそれは見事で、遠くからでもすぐに目に付きます。葉は花が咲いた後に出始め、咲き終わって暫くすると、10-15cm程のハート形になります。細い枝では、この大きな葉の重みでたわんでしまう程です。このピンク種の他に白花種があり、「シロバナハナズオウ(白花花蘇芳)」と呼ばれます。
Apr/15/2012
「ツルニチニチソウ(蔓日日草,蔓日々草)」が咲き始めました。花は4-5cm程、蔓性でよく伸びます。端正で形の良い五弁の花で、色合いも優しく、本当に可愛らしいですね。そういえば、花の形は同じキョウチクトウ科の「テイカカズラ(定家葛)」によく似ています。近くに野生化したものも咲いていました。こちらは木の陰で薄暗いのですが、それでも、かなり力強く蔓を伸ばしています。日蔭などを厭わないのでしょうね。そういえば自宅のものもほとんど手を掛けることがありませんでしたが、毎年咲いてくれます。この種よりも小さく、花が半分ほどの「ヒメツルニチニチソウ(姫蔓日日草, 姫蔓日々草)」があります。こちらも可愛らしいですよ。