この規格は、2000年に発行されたISO 9001(Quality management systems-Requirements)を翻訳し、技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
”参考”と記載されている情報は、関連する要求事項の内容を理解するための、又は明確にするための手引きである。
なお、この規格で点線の下線を施してある箇所は、原国際規格にはない事項である。
これまでにJIS Z 9902(品質システム-製造、据付け及び付帯サービスにおける品質保証モデル) 及びJIS Z 9903(品質システム-最終検査・試験における品質保証モデル)を使ってきた組織は、 この規格の1.2の記述に従って、規格の要求事項の一部を除外することによって、この規格を使うことができる。
この規格の表題は変更され、もはや品質保証という言葉を含んではいない。このことは、この規格で規定された品質マネジメントシステム要求事項は、製品の品質保証に加えて、顧客満足の向上をも目指そうとしていることを反映している。
この規格の附属書A及び附属書Bは、単に参考情報である。この規格の対応国際規格の第3版(ISO9001:2000)から第4版(ISO9001:2008)への変更の詳細を、付属書Bに示す。
品質マネジメントシステム
を採用することは、の採用は、組織
によるの戦略上の決定
とすべきであるによることが望ましい。
組織における品質マネジメントシステムの設計及び
実現実施は、変化するニーズ、固有の目標、提供する製品、用いられているプロセス、組織の規模及び構造次の事項によって影響を受ける。
a) 組織環境、組織環境の変化、及び組織環境に関連するリスク
b) 多様なニーズ
c) 固有の目標
d) 提供する製品
e) 用いるプロセス
f) 規模及び組織構造
この規格は、品質マネジメントシステムの構造の
均一化画一化又は
文書の文書化の画一化
が、この規格の意図ではないを意図していない。
この規格が規定する品質マネジメントシステムについての要求事項は、製品に対する要求事項を補完するものである。
”注記”と記載されている情報は、関連する要求事項の内容を理解するための、又は明確にするための手引きである。
この規格は、
製品に適用される顧客要求事項
及び法令・規制要求事項及び組織固有の要求事項を満たす組織の能力を、組織自身が内部で評価するためにも、
審査登録認証機関を含む外部機関が評価するためにも使用することができる。
この規格は、
JIS Q 9000(品質マネジメントシステム-基本及び用語)及びJIS Q 9004(品質マネジメントシステム-パフォーマンス改善の指針)ISO9000及びISO9004に記載されている品質マネジメントの原則を考慮に入れて作成した。
この規格は、顧客要求事項を満たすことによって顧客満足を向上させるために、品質マネジメントシステムを構築し、実施し、その品質マネジメントシステムの有効性を改善する際にプロセスアプローチを採用することを奨励している。
組織が効果的に機能するためには、数多くの関連し合う活動を明確にし、運営管理する必要がある。
インプットをアウトプットに変換することを可能にするために資源を使って運営管理される
一つの活動又は一連の活動は、プロセスとみなすことができる。
一つのプロセスのアウトプットは、多くの場合、次のプロセスへの直接のインプットとなる。
組織内において、
望まれる成果を生み出すために、プロセスを明確にし、その相互関係を把握し、運営管理することと併せて、一連のプロセスをシステムとして適用することを、”プロセスアプローチ”と呼ぶ。
プロセスアプローチの利点の一つは、プロセスの組合せ及びそれらの相互関係とともに、システムにおける個別のプロセス間のつながりについても、システムとして運用している間に管理できることである。
品質マネジメントシステムで、このアプローチを使用するときには、次の事項の重要性が強調される。
a) 要求事項を理解し、満足させる
b) 付加価値の点でプロセスを考慮する必要性
c) プロセスの実施状況及び有効性の成果を得る
d) 客観的な測定結果に基づくプロセスの継続的改善
図 1に示すプロセスを基礎とした品質マネジメントシステムのモデルは、4.~8.に記述したプロセスのつながりを表わしたものである。
この図は、インプットとしての要求事項を決定するうえで顧客が重要な役割を担っていることを示している。
顧客満足の監視においては、組織が顧客要求事項を満たしているか否かに関する顧客の受けとめ方についての情報を評価することが必要となる。
図1に示すモデルはこの規格のすべての要求事項を網羅しているが、詳細なレベルでのプロセスを示すものではない。
参考注記 ”Plan-Do-Check-Act”PDCA)として知られる方法論は、あらゆるプロセスに適用できる。PDCAを簡潔に説明すると次のようになる。
Plan : 顧客要求事項及び組織の方針に沿った結果を出すために、必要な目標及びプロセスを設定する。
Do : それらのプロセスを実行する。
Check : 方針、目標、製品要求事項に照らしてプロセス及び製品を監視し、測定し、その結果を報告する。
Act : プロセスの実施状況を継続的に改善するための処置をとる。
この規格は、規格利用者の便宜のため、JIS Q 14001(環境マネジメントシステム-仕様及び利用の手引)と両立するように構成されている。
この規格の作成過程において、利用者の利便のために、ISO 14001:2004の規定を十分考慮に入れて二つの規格の両立性を高めた。附属書Aに、ISO 9001:2008とISO 14001:2004との対比を示す。
この規格には、環境マネジメント、労働安全衛生マネジメント、財務マネジメント、リスクマネジメントなどの他のマネジメントシステムに固有な要求事項は含まれていない。しかしながら、この規格は、組織が品質マネジメントシステムを、関連するマネジメントシステム要求事項に合わせたり、統合したりできるようにしている。
組織がこの規格の要求事項に適合した品質マネジメントシステムを構築するに当たって、既存のマネジメントシステムを適応させることも可能である。